Smiley face
アリシヤ・べべジェンスカヤさん(左)と、就職を支援してきた松崎進一准教授=福岡県太宰府市
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 「周りからどういう人だと言われますか」

 「5年後の自分をどのように思い描いていますか」

 福岡県太宰府市の大学生、アリシヤ・ベベジェンスカヤさん(22)は2023年の秋ごろ、就職面接でこんな質問を受け、頭が真っ白になった。

 想定問答を作って練習を重ねたが、「全部の質問が難しかった」。グループ面接では、短い言葉しか出てこず、恥ずかしい思いをした。

 高校生の頃、米津玄師さんの曲を聴いて日本に興味を持った。発音やリズムから日本語が好きになり、ウクライナの首都にあるキーウ国立言語大で日本語を専攻した。

 大学3年だった22年2月、ロシアがウクライナに侵攻した。

 度重なる空襲警報や目を覆いたくなる街の惨状の映像。そんなとき、交換留学制度があった日本経済大学が、人道支援として日本への避難を希望する学生を受け入れると聞いた。

 いつか行きたいと思っていた日本。母親に相談し、避難を決めた。翌月から、太宰府天満宮にほど近いキャンパスでの生活が始まった。

 春になり、すぐに直面したのが就職活動だった。

【連載】ウクライナには帰れない 「日本で生きる」避難者たち

ロシアによる侵攻から2年が過ぎました。日本財団によるアンケートでは、帰りたいのに帰れないウクライナ避難者の苦しい立場が浮かんでいました。避難者たちは、なにを思い、どう生きていこうとしているのか、報告します。

 ウクライナや欧州での就職も…

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